しめ縄づくり2022
毎年恒例のしめ縄づくり。
今年はついに、スゲを刈り取る工程から行うことができました!
NPO法人 人まち育てⅠ&Ⅰ主催の「湿地の恵み復活プロジェクト」の1つ、
『石狩地域産のスゲによる〆縄づくり』
7月に石狩川流域に自生するスゲを参加者のみなさんと刈り取り、農家さんの納屋に干させていただきました。
その様子はこちら↓
いつもの青森県から購入しているスゲとの比較写真↓
道産(左)の方が葉が細く柔らかく、色が青々しく、香りも強いようでした。
柔らかいので綯いやすいのですが、丈が短めなため、継ぎ足しながら作るor小さめに作る必要がありました。
来年度は丈の長いスゲを用意できたら良いなぁと思いました^^
以下、しめ縄の作り方等についてです(毎年同じなので、省略版です)↓
このしめ縄は、輪の部分だけのリース型ではなく、「邪気を払う」という大切な意味のある長い足がある形です。
まず輪の部分「頭」を作ります。
湿らせたスゲの束を3等分し、そのうち2束を締め上げながら編んでいきます。
芯となるスゲ製アンコを途中で入れ、ボリュームを出します。
残りの1束も同様に編み込み(練り込み)、完成!
次に足を付けます。
もう一束のスゲを3等分し、頭の中央部分に通します。
足の長さを決め、スゲの上の部分を三つ編みして結びます。
結ぶときに使った紐もスゲ製です。
いよいよ最後の飾りつけ。
飾りには1つ1つ意味があります。それを確認しながら、スゲに差し込んだり小さな釘で固定し、
無事に立派なしめ縄が完成しました!
お正月に飾られる伝統的なしめ縄は、稲わら・スゲ・マコモなど、地域によってその材料が異なります。
寒冷地である北海道では、スゲ製が多かったのではないかと思います。
ひと昔前には、スゲが生育するような湿地はあちこちにあり、スゲ笠や蓑(みの)を作るための生活必需品だったようです。
しめ縄は神様に示す縄。
買うなんてせずに、みんな自作していたそう。
しかし、現在ではそのような湿地が消え、スゲがなかなか手に入らない貴重なものとなり、しめ縄などを作れる人も減ってしまっています。
ホームセンターで販売されているしめ縄を見てみてください。
ナイロンや中国産のスゲでできたものばかり…
神社に飾られているものでさえ、そのようなものが増えているのだとか。
小正月に行われるどんど焼きでは、ナイロン製のものはもちろん焼けません。
中国産のスゲも、緑色の塗料を塗られていることがあるそうで、焼くと黒い煙が出てしまうため焼かれないのだとか。
飾りも、最近はプラスチック製が多いですね。
今回の飾りは、すべて紙製。
海老の張り子屋さんが廃業してしまったため、昨年まではやむを得ずプラ製を使っていましたが、
今年は水引でできた海老を使うことができました。
最近は北海道でスゲが採れる場所も減少してしまっています。
3年前に訪問した函館市の道南四季の杜公演では、棚田の一部がスゲ田になっており、そこで育てたスゲを採取してしめ縄を作られていました。
4年前に訪問した千歳市の泉郷神社に立派なしめ縄を奉納されている方々からは、カサスゲが採れた地域の湿地がなくなってしまったと伺いました。
現在はこれまでに採って貯蔵しているものを使い、アンコには違う地域で採らせてもらったオオカサスゲを利用されていました。
この湿地の恵みを継続的に享受し、伝統文化を後世に伝えるため、スゲ群落の保全やスゲ田などによる材料供給をしていきたいと考えています。
まず今年は、残存するスゲ群落を維持すること、少し収穫してみること(今回のしめ縄作りに使用しました)、タネや地下茎を採って育苗すること、スゲ田づくりのための試験植栽を行いました。
今回の湿地文化体験を通して、スゲや湿地に少しでも興味を持ってくれた方がいたらとても嬉しいです。
こんな立派なしめ縄を焼いてしまうのは勿体無い気もしますが、飾ったものを空にお返しするため必ずどんど焼きに持っていきます⭐︎